地域材を活用した大型パネルの可能性って何でしょうか?

アトリエフルカワ一級建築士事務所 古川泰司氏に当社の取り組み「木造大型パネル」事業について

伺ってみました。

 

 

<古川氏>

『大型パネル』の可能性って何でしょうか?

グラウンド・ワークスの山下社長から今回のプロジェクトをお聞きした時に、それまで私が考えていた

可能性を大きく超えたものがそこにありました。

 

それは、一言で言うと、「大型パネル」は地場産業の振興につながるというものです。それは素晴らしい

ことです。地元の職人さんの手に住宅産業を取り戻したいという山下社長の気持ちが痛いくらいに伝わって

きました。住宅に求められる性能は日増しに上がってきています。耐震性能や機密断熱性能を確実に実現

することが求められています。それを現場作業で実現しようとしてきたのが、今までの地域工務店の

あり方でした。

 

大手ハウスメーカーは、その解決のために、すでに工場生産のプレファブ化を進めていました。現場作業を

極力減らし工場生産で効率的かつ高度な品質管理をするには、生産の場を現場から工場に移していくのは

必然で、そうした住宅産業の流れから地域工務店は一歩も二歩も取り残されていた状態でした。

 

そこに登場したのが『大型パネル』です。この工法の一番の特徴は誰でも使えるということです。

 

私のような設計事務所でも注文すれば対応してくれます。大手ハウスメーカーの工場生産が、外に

開かれていないクローズなものだったのに対して、どこまでもオープンであろうとするパネル供給

システムなのです。このオープンである、という事がとても大切で、実はこの大型パネルは、自分たちの

手で内製で作ることが出来るのです。

 

『大型パネル』というと、それを作るメーカーに仕事を奪われるのではないかと危惧する人もいますが、

そうではないところにこの工法の可能性がある。そこに着目したのが山下社長なのです。

 

山下社長の構想では天竜材を使ったパネル工場をつくり、そこで地元の職人さんに働いてもらおうと

考えています。

 

実際に、現場で想い外壁下地材を張ったり、高性能化のために重量化しているアルミサッシを取り付けるのは、

すでに大変な作業になっています。その作業を工場内で平置きで出来るわけですから、作業性は当然上がり

ます。この作業性アップは、『大型パネル』に関わる全ての人に利益をもたらします。

 

地域の住宅産業を、『大型パネル』で取り戻す試みに大きな期待をしています。

 

アトリエフルカワ一級建築士事務所

古川 泰司氏

 

武蔵野美術大学建築学科卒業後、’88年筑波大学院芸術学系デザイン専攻

建築コース修了。建築事務所や工務店に勤務後、’98年

アトリエフルカワ一級建築士事務所設立。林業、製材、職人をつないだ、

地域の木を生かした建物の設計を行っています。最近では、住宅医の資格を

活かしながら、空き家活用で地域の空間資源再生を通した地域再生やコミュニティ

づくりにも取り組んでいます。